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東日本大震災行方不明者捜索活動協議会2016

2. 名取市閖上地区における地中レーダを活用した捜索活動の状況報告

   (2)「ドローン映像処理による地中レーダ探査の効率化」

     豊橋技術科学大学准教授 金澤靖

豊橋技術科学大学の金澤と申します。よろしくお願いいたします。
私の方では、ドローンによる映像を用いて、先ほど説明のあった地中レーダによる探索をより効率化するための技術について説明します。

閖上浜での捜索

前項でも説明がありましたが、閖上浜でのレーダ捜索は、探索範囲を決め、その中をくまなく地中レーダで探索し、反応があったところを掘る、というやり方で行なっています。これを効率化するために、航空機レーダの画像を利用していますが、航空機レーダ画像は地表面の物体と地中の物体の区別が出来ないという問題があります。これは衛星による光学画像と比較することで、区別が出来るわけですが、衛星画像は一般に解像度が荒く、地表面上の細かな物体を区別できません。

捜索範囲とマーキングのイメージ

実際の探索の様子

掘り出す作業の様子

ドローン映像を用いた効率化

そこで、我々はドローンにより、より高解像度かつ広範囲の画像を撮影し、その画像から地表面の植生や漂着物を検出し、レーダ画像と比較することで、探索箇所を限定したり、また広範囲かつ高精度に砂浜の形状を測定することで、地中レーダの自律移動に利用しようと試みています。

レーダ画像と組み合わせて捜索範囲を限定し、ドローン映像を処理することで,植生や漂着物を自動的に検出する。

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ドローンの映像から地表の状況を観測し、地表形状を計測することで,地中レーダの自律移動等に利用する。

地中埋没物の捜索の効率化を図る

撮影画像

まずこれがドローンで撮影した映像で、これを合成することで、このような広範囲の砂浜画像を得ることが出来ます。

これにより、衛星の光学画像に比べ、より細かい箇所まで見えるようになります。

ドローン映像画像

ドローン映像による合成画像

植生や漂着物の自動検出例

次に、これが植生や漂着物の自動検出を試みた例です。ここでは砂浜は、小さい領域で見ればほぼ同じような模様であるのに対し,植生や漂着物はそれとは色が異なることを利用しています。見ていただいてわかる通り、正しく漂着物を検出できている箇所もありますが、誤検出も多いため、引き続き改良が必要です。

復元結果例:閖上浜

次に、これがドローン映像から砂浜の形状を計測した結果です。

砂浜はほぼ平面であり、一般にこのようなほぼ平面を写した映像から形状を測定すると、大きく歪んでしまうため、高精度な形状計測法が必要となります。
 

高さの異なる画像を用いた復元

これは、高さを変えて撮影した数枚の画像を用い、ほぼ平面であることを利用して復元した結果です。

これによりこのように高精度な形状計測を行うことができます。
 

低高度の画像

高高度の画像

復元結果

複数画像を組み合わせた復元

このように高度が一定の連続した映像から、復元することもできます。

対象場所の全景

これが全景で、これが復元した砂浜の形状になります。

ここでは、自動的に形状計測に適したフレームを選び、また、ほぼ平面であることを利用して復元しています。

形状の復元結果

現場ですぐに使えるために

これらの処理ですが、いずれも比較的時間のかかる処理となっているため、現在,現場ですぐ利用できるように、ドローン映像をノートPC等に取り込み、リアルタイムに形状計測が行えるようなシステムの構築を行なっています。
 

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ドローン

HDMIモジュール

ノートPC

今後の展望

人工衛星

ドローン

自律移動地中レーダ

航空機搭載レーダ

オフライン

オフライン

オンライン

水中ドローン

各レーダデータを元にした

ドローン映像データによる

オンライン制御による捜索

水中ドローンなどを用いた水中・海底での捜索

将来的には,これらの技術を地表だけでなく,水中にも応用したいと考えています。

© 2016 by 行方不明者捜索活動協議会

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